陳舜臣『秦の始皇帝』

秦の始皇帝 (文春文庫)

秦の始皇帝 (文春文庫)

 2003年8月購入。3年半の放置。初出がNHK人間大学ということもあってか、始皇帝入門とも言うべきわかりやすい内容になっている。その視点はどちらかというと肯定的で、統一事業によって生じた度量衡の統一や交通の整備といった点を取り上げており、焚書坑儒などのマイナス面には触れつつもことさら声高に非難してはいない。秦の統一から崩壊までの歴史の流れや有名人物がきちんとフォローされており、好著といえる。ただし、個人的に最も興味を持ったのは始皇帝本人ではなく、比較対象として取り上げられていた人物・ムガル朝もアクバル大帝だったりする。