はやみねかおる『ぼくと未来屋の夏』

ぼくと未来屋の夏

ぼくと未来屋の夏

 2003年10月購入。3年少々の放置。小学6年生の風太は夏休みの前日に「未来屋」と名乗る男と出会う。「未来屋」こと猫柳さんは100円で未来を売るという、どうにも胡散臭い男なのだが、その猫柳さんはなぜか風太の家に住み着いてしまい、なおかつ風太の自由研究を手伝ってくれると言うのだが……
 元来がジュブナイル作品の書き手だけあって、まことに手堅い出来となっている。特に「未来屋」猫柳の設定・位置づけが絶妙で、風太少年は彼をいやなヤツだと思わせておきながらも嫌いなヤツにはさせない――すなわち根っからの善人とは違うがかといって読んでいる側が不快にはならない程度に癖のある大人を造形するそのサジ加減はさすが。数あるミステリーランドのシリーズのなかでも、とりわけ子ども向けの色合いが濃い作品だ。