石田衣良『娼年』
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/05/20
- メディア: 文庫
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冷め切って退屈した青春を送るリョウの姿は現代的若者の一典型としてベタに設定されている。そのリョウが「娼夫」の仕事で何かに目覚めるというわけでもなく、多様な性行為にのめりこむわけでもなく、ただただ与えられた境遇に身を任せる姿勢が徹底的に描かれるストーリーは空虚な印象を受ける。そしてそれが冷め切った若者像を描くことに終始した作者の意図によるものであることは容易に想像できる。物足りないととるか、オサレでスタイリッシュな石田らしい作品ととるか判断に迷うが、個人的には前者をとりたい。