樋口有介『彼女はたぶん魔法を使う』

彼女はたぶん魔法を使う (創元推理文庫)

彼女はたぶん魔法を使う (創元推理文庫)

 2006年7月購入。半年の放置。柚木草平38歳、10歳の娘及び妻とは別居中。前職は刑事で今はフリーライター兼私立探偵。現在の恋人は元同僚の美人警部。そんな美人警部から今回持ち込まれた依頼は女子大生ひき逃げ事件の真相を探る事。依頼人は被害者の姉。そして捜査中に知り合う美女たち……
 ひとつ間違うと「それなんてエロゲ?」と言いたくなるような設定で展開されるストーリーは、主人公の年齢とはほど遠い青春小説のごとくみずみずしいものである。それは単に草平がガキっぽいと言うものではなく、サムエル・ウルマンの有名な詩の一節「青春とは心の若さである」を地でいく言動を見せてくれるからこそ生じるものだ。このテイストは私個人の嗜好から言えばストライクゾーンど真ん中で、非常に楽しく読めた。おっさんの、おっさんによるおっさんのための青春小説だ*1

*1:ゆえに私はおっさんということになる。