浅田次郎『オー・マイ・ガアッ!』

オー・マイ・ガアッ! (集英社文庫)

オー・マイ・ガアッ! (集英社文庫)

 2004年11月購入。1年8ヶ月の放置。会社を共同経営する友人に裏切られ、恋人まで奪われた中年男・大前剛、大会社のOLから娼婦になった梶野理沙、ベトナム戦争の英雄なのに今ではさえない失業者のジョン。主人公の3人はいずれも社会の勝ち組から負け組に転落してしまった。彼らがひょんなことからラスベガスのカジノで大金を手に入れるが……という、いかにも浅田次郎のテンプレに沿った登場人物が浅田次郎のテンプレどおりのドタバタ劇を繰り広げ、ラストもやっぱり浅田テンプレっぽいほろりと泣ける感じで締めてみせる――そういった形の物語。正直またかよ、と思いつつも浅田次郎に求めているものはその「またかよ」なストーリーであるのでそこに不満はない。しかし、完成度という点において同系統の『王妃の館』はもちろん、超傑作『プリズンホテル』シリーズには遠く及ばないのも事実である。あと、些細なことかもしれないが、大前剛=オー・マイ・ガアッ!という親父ギャグ全開のネーミングはさすがにどうかと思う。