シオドア・スタージョン『輝く断片』

輝く断片 (奇想コレクション)

輝く断片 (奇想コレクション)

 「奇想コレクション」シリーズのスタージョンはこれが2作目。1作目の『不思議のひと触れ』が比較的SF色の強い作品をそろえてあったのに対して、こちらはミステリ風味が強い。とはいえいわゆる一般的にイメージするミステリものとは一味もふた味も異なるプロット展開を見せつけている。「奇想」を表現するに当たってのアプローチは大まかに分けて二通りあると思う。一つは設定そのものが「奇想」に富んでいるものにする方法、もう一つは設定はさほど奇をてらったものではないのだが、思いもよらないストーリー運びをするものだ。スタージョンの作風は後者に相当するものが圧倒的に多い。佳作ぞろいの中で最もお気に入りは「マエストロを殺せ」。