荻原規子『西の善き魔女Ⅵ 闇の左手』

西の善き魔女VI- 闇の左手 (中公文庫)

西の善き魔女VI- 闇の左手 (中公文庫)

 2005年8月購入。5ヶ月の放置。文庫第6巻だが、当初刊行されたノベルズ版では本書が最終巻となっている。最終巻にふさわしく女王後継問題が解決したり世界の秘密が明かされたりするのだが、正直ぬるすぎる印象だ。特に前者はあの解決法で登場人物たちが納得するとは思えないのだが。本シリーズの空気にあったものであるとはいえるのだが、ぬるいよなあ。後者はある種定番の世界観に落ち着いたというべきか。
 それにしてもラストがこれではあっけなさすぎる。ユニコーンのルー坊もついに成獣にならないままだ。成獣化すなわち成長である以上その飼い主のフィリエル自身の成長とも重ねやすい演出となりえたのに、これでは単なる狂言回しにすぎない。また、フィリエルの出した結論も突きつけられたものの巨大さ・重さ・深刻さと比べるとやはり浅薄なものに感じてしまう。この手のアンバランスさは前巻までにも見受けられたもののそれでもアンバランスなりに作品内結構を保ってきたのだが、最後にその結構自体が崩れてしまった。残念。

 ……と思ったら外伝として書かれた残り2冊に後日譚がある模様。最終評価は見送ったほうがよさそうだ。えらそうなこと書いてすんません。