荻原規子『西の善き魔女Ⅶ 金の糸紡げば』

西の善き魔女〈7〉金の糸紡げば (中公文庫)

西の善き魔女〈7〉金の糸紡げば (中公文庫)

 2005年10月購入。3ヶ月の放置。シリーズの主人公フィリエルとルーンの出会いを描いた外伝。学問に熱中するあまり私生活、そして娘を省みることのないディー博士のもとにやってきた少年ルーン。ルーンの秀才ぶりに博士は興味を示し、そんなルーンと自分を比べてしまうフィリエルは父との間に距離を感じてしまう。そこにもちかかる育ての親のもとに養子になるという話。
 思春期の親子関係、そして心を閉ざした少年との交流というテーマで二人の幼年時代を描ききった力作で、非常に好感が持てる。元来が児童文学を手がけてきた著者の本領発揮というところか。シリーズの本筋とはまったく異なる話だが、個人的には一番楽しめた。