別冊宝島『貫井徳郎症候群』

別冊宝島「貫井徳郎 症候群」 (別冊宝島 (1085))

別冊宝島「貫井徳郎 症候群」 (別冊宝島 (1085))

 2004年12月購入。半年間放置。貫井徳郎の解説本で、北村薫によるデビュー秘話、瀬名秀明との対談、評論化各氏による解説、そしてお蔵入りとなった長編「死の抱擁」第1部を収録。


 「死の抱擁」は『慟哭』や「症候群」シリーズのような雰囲気で書かれた作品。作者自身が若書きであることを明記していたがそれでもぐいぐい読ませてしまうだけの力を持っている。私はまだ読んでいないのだが、『空白の叫び』にプロットを流用しているらしいので、そちらに期待。


 対談、各評論とも非常に興味深く読めたのだが、なかでも笠井潔の「九十二年危機と二人の新人――麻耶雄嵩貫井徳郎」は素晴らしい。新本格ミステリ史の流れの中で貫井をとらえ、さらに同時期デビューで新本格の発展において重要な役割を担った麻耶を比較しているのだが、読んでいて知らず相槌をうっている自分がいた。