マイケル・ムアコック『グローリアーナ』

グローリアーナ (創元推理文庫)

グローリアーナ (創元推理文庫)

 2001年1月購入。4年半の放置。エリザベス朝をモデルにしたと思われる架空のロンドンを舞台にした幻想小説


 アルビオンの女王グローリアーナは多くの臣民に女神として崇拝され、世界中から賞賛されているが、彼女自身は決して心満たされることがない。そんな彼女に婚姻を求めるアラビアとポーランド。この2国でとの間に起きる軋轢が、平和に満ちた宮廷に不穏の影を落とすことに。グローリアーナが女王に戴冠して以降起きることのなかった殺人事件が発生し、彼女の側近ウーナまで行方不明に。その裏に隠された、大法官モントファルコン卿とその手下キャプテン・クワイアの軋轢……


 もとネタとしてエドマンド・スペンサーの長編詩『妖精女王』や、マーヴィン・ピークの「ゴーメンガースト」3部作があるのだが、どちらも未読。それゆえ舞台背景をきっちり理解しきれなかった。特に後者は購入済みでしっかり積んである。計画性のない読書の招いた弊害といえよう。ただ、そのあたりを抜きにしてもムアコックの描き出す「アルビオン」の雰囲気は実に魅力的だし、後半のエンディングへ向けてのストーリー展開も素晴らしい。さすがムアコック