霞流一『ウサギの乱』

ウサギの乱 (講談社ノベルス)

ウサギの乱 (講談社ノベルス)

 2004年3月購入。6年半の放置。神社の改築工事中に兎の骨が大量に発見された。そこから端を発した兎尽くしの事件。兎の骨を幸運のアイテムとして売り出し金儲けをする神社関係者や、実際にその神社を詣でてトップクラスのアイドルに上り詰めた少女。そしてこれらの人々の間で発生した殺人事件……第一の被害者は兎のストラップを携帯につけていた。第二の被害者は密室内で発見され、しかもそのドアノブに兎の描かれた絵馬が掛けられていた。そして第三の被害者のそばには土でできた兎が置かれていた。
 このようにある動物をモチーフにしたミステリを描く、というパターンは作者におなじみのやりかただ。そして、この作者といえばもうひとつ「バカミス」であることがある種のステータスとなっているところがある。しかし、主人公の警部と探偵のコンビの理不尽劇めいたやりとりはユニークであるが、本書のバカミス度はさほど高いとはいえない。とはいえ密室トリックはなかなかのインパクトを持つバカミス系のトリックではある。