我孫子武丸『警視庁特捜班ドットジェイピー』

警視庁特捜班ドットジェイピー

警視庁特捜班ドットジェイピー

 2008年6月購入。2年3ヶ月の放置。警察のイメージアップのために組織された広報部隊、<ドットジェイピー>の活躍?をユーモアたっぷりに描いた作品。<バージンホワイト>や
<ソルジャーブルー>などといったコードネームを持つ五人の面々は格闘術に秀でていたりあるいは射技機の名手だったりと、それぞれ特技を有している。そしてそれと同時に性格に一癖あったりする。本書で特徴的なのは、警察=戦隊ヒーローVS犯罪者=悪人という明確な構図が提起されていながら、警察が犯人を追うのとは逆に悪人が戦隊ヒーローを付け狙うという流れでストーリーが進んでいくことだ。設定上警察小説のセオリーから外れているのは言うまでもないが、同時に戦隊ヒーローものの定型までもひっくり返しているのだ。警察らしくない警察、ヒーローらしくないヒーローという形で進む物語ではあるが、着地すべきところはきちんと着地しているのはさすがである。