近藤史恵『寒椿ゆれる 猿若町捕物帳』
- 作者: 近藤史恵
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/11/21
- メディア: 単行本
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馴染みの女形である巴之丞が何者かに刺される。聞込みをもとに犯人を探したところ、巴之丞本人には全く見知らぬ女性が浮かび上がる。どうやら彼の仲間や馴染みの遊郭が絡んでいるようで……という「清姫」。
千蔭のライバルでもある同僚・大石が何者かに陥れられつつある。千蔭は彼の危機を救わんと奔走する「寒椿」。
巻を重ねて4作目ともなると、登場人物たちのキャラも相当確立されている。各話とも事件単体で見るとあっさりとしているのだが、そこで活躍する各人物たちが非常に目を惹く。今巻では3編をとおして千蔭の見合い話が進行し、婚約にまで至るということになり、かつ、そのイベントが事件にも絡んできており、読者の興味を引き立てていく。シリーズ読者には周知のことであるが、本作には梅が枝という遊女がヒロイン的ポジションに位置しており、彼女と千蔭、そして婚約者であるおろくの関係がどう着地するのかが読みどころである。