歌野晶午『密室殺人ゲーム2・0』

密室殺人ゲーム2.0 (講談社ノベルス ウC-)

密室殺人ゲーム2.0 (講談社ノベルス ウC-)

 2009年8月購入。7ヶ月の放置。五人の殺人鬼たちが、自らが犯した殺人をネタにチャット上で推理ゲームを繰り広げる、というネットを舞台とした本格ミステリ『密室殺人ゲーム 王手飛車取り』に続くシリーズ第二弾。前作同様、登場人物たちが提示する謎と、「中の人」である彼ら自身に関わる諸問題、という二重の興味でもって読者を牽引していく手法が用いられており、前者は比較的チープである。しかし、推理ゲームを提供せんがために彼らの取る行動は常軌を逸したものがあり、なかなか衝撃的だ。ネットを小道具として扱うミステリはここ数年でそれなりに見られるようになったが、さまざまな趣向を見せた本書とその前作をもってして一つの到達点にたどり着いたと言っても良い。