浦賀和宏『堕ちた天使と金色の悪魔』

堕ちた天使と金色の悪魔 (講談社ノベルス)

堕ちた天使と金色の悪魔 (講談社ノベルス)

 2007年9月購入。1年11ヶ月の放置。前半は松浦純菜視点で語られた前作をシリーズ従来の八木視点で眺めなおしたもの。そして後半は友人関係を修復した純菜と彼に好意を抱くドイツ人美少女マリアとのあいだで揺れ動く八木剛士の心情をメインに、彼の周辺事情が語られる。二人の女性に慕われる、という状況にあり、そしていじめられっこというポジションを脱却したにもかかわらず周囲に疎まれる八木の歪んだ感情の発露は本書でも健在で、シリーズ特有の、そしていかにも浦賀作品らしい鬱々たる読後感はここでも得ることができる。八木や純菜の能力に関する秘密も徐々に明かされてきており、ストーリー自体も盛り上がりつつある。