2008年10月購入。5ヶ月の放置。
直木賞やミステリ系の年間ランキングを総なめした『容疑者Xの献身』に続く、
ガリレオシリーズの長編第二作。一作目同様、湯川と犯人による知恵比べがメインの
倒叙ミステリで、その構成はやはり一作目同様の大胆な大ネタ一発によって成立している。この大ネタそれ自体に焦点を絞った
ハウダニットとしていたら、本書は非常にチープなものとなっていたであろう。そのような構成にせず、あくまでそのようなトリックを成立させた犯人の心理こそを読みどころにしたことで、作品そのものに凄みが生まれた。その筋運びには作者の貫禄すら感じられる。ということで、シリーズ読者にもそうでない読者にも、そしてファンならもちろんそうでもないミステリ読みにも安心して読むことの出来る作品だ。