加藤実秋『インディゴの夜』

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

 2005年3月購入。3年11ヶ月の放置。渋谷のクラブ・インディゴはフリーライターの高原晶が編集者の塩谷と共同で始めた一風変わったホストクラブだ。在籍するホストはいかにも渋谷の街にとけこみそうなDJやダンサー風の若者たち。ストーリーはそのインディゴの常連客が巻き込まれた事件を、ホストたちが解決していく、といったもので、短編四作が収められている。舞台設定を意識した登場人物や事件が用意されているのだが、いかにも類型的で一作品世界としての自己主張はさほど感じられない。さくさく読める軽めの文体も世界観にマッチしているようで、実際には読後感が希薄なものとなってしまっている。そういった気軽に読める作品や、『池袋ウエストゲートパーク』のような実在の年を舞台とした若者が活躍する作品を好む読者のニーズには答えてくれていると思われるので、その手のツボを持ち合わせている読者は読んでみる価値はある。