島田荘司『犬坊里美の冒険』

犬坊里美の冒険 (カッパ・ノベルス)

犬坊里美の冒険 (カッパ・ノベルス)

 2006年10月購入。2年4ヶ月の放置。『龍臥亭事件』で初登場し、「───アタシの名前は犬坊里美。心に傷を負った女子高生。(以下略)」という改変コピペ*1が似合うスイーツ(笑)女性に成長した犬坊里美を主人公としたシリーズ。司法修習生となった彼女は勝算のきわめて薄い裁判の弁護を引き受ける。犯人と目された被告人は犯行を認めたものの、供述調書をとると曖昧なことしか言わない。本当は自分の犯行ではないのに自分がやったと言い張っているかのようだ。しかし里美はセクハラまがいの暴言を吐かれたりと、被告人とはまともなコミュニケーションも取れずにいるのだった。
 里美のスイーツ(笑)臭は、女性誌に連載されていた、ということでその雑誌の読者層を意識したことによって生まれたものだろうが、従来の島田ファンがはたしてそれを求めただろうか、という疑問を抱かざるをえない。とはいえ、メイントリックの大技は作者の真骨頂でそこはさすがに満足いくものとなっている。バカミスっぷりもかなりのもの。

*1:「ガシッ!ボカッ!アタシは〜」という展開にはなりません。