谷川流『学校を出よう!2 I−My−Me』

学校を出よう!〈2〉I‐My‐Me (電撃文庫)

学校を出よう!〈2〉I‐My‐Me (電撃文庫)

 神田健一郎の前に二人のそっくりさんが現れた。一人は過去から来た自分、もう一人は未来から来た自分。未来から来た自分は記憶が曖昧で、おまけに血のついたナイフを持っている。はたして未来に何が起きるのか、そして二人はもとの時間軸に戻れるのか。
 主人公は典型的な巻き込まれ型で、事件の渦中にいながらも主導権をとることができず、ひたすら事態に流されていくだけなので、それなりにもどかしさがある。また、シリーズものの第二弾でありながら、一作目で確立させた登場人物がほとんど姿を見せないので、キャラクターものを期待したシリーズ読者にとっては肩透かしに感じる構成でもある。もっとも、作者得意の時間SFもので、作中で生じたタイムパラドックスの処理は手馴れたものだ。その点では安心して読めるであろう。