竹本健治『キララ、またも探偵す。』
- 作者: 竹本健治
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/05/15
- メディア: 単行本
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ミステリ濃度もさほど高いとは言えず、ミステリ作家としての竹本作品を期待していたとしたらそれは肩透かしに終わるに違いない。もっともそれは、前作読了済みであれば想定の範囲内であろう。では、本書のもうひとつの側面、すなわち美少女キャラクター小説としてはどうか。これまた前作からは予想可能の範囲であったが、一世代古いおっさん向けのテイストで、現代的ラノベの洗練さとはほど遠い。
以上、ジャンル読み的視点で鑑みるとミステリ・ラノベ両読者にとってもすっきりした読後感を得づらい作品であるといえる。作者自身は本書を楽しんで書いたであろうと想像できるが、そのこと自体がファンのニーズをまったく満たしていないわけで、その意味で読者・作者双方にとって不幸な作品といえる。