山口雅也『キッド・ピストルズの最低の帰還』

キッド・ピストルズの最低の帰還

キッド・ピストルズの最低の帰還

 2008年5月購入。半年の放置。被害者は届くはずもない距離から射られたと思われる矢で殺されていた「誰が駒鳥を殺そうが」、そっくりな三つ子によって形成されたアリバイを崩す話「アリバイの泡」、わき道のない一本道で起きた子供たちの消失事件「教祖と七人の女房と七袋の猫」、パンクのライブ中に急死した観客の意外な殺害方法「鼠が耳をすます時」、超能力を持った子供たちが暮らす施設で起きた殺人事件「超子供たちの安息日」の五編を収録。
 いずれもシリーズの前作同様マザーグースの一節に酷似した見立てがとられた事件を扱っており、見立て状況そのものが凝ったものである。読んでいてそれらが印象に残るのだが、それに対する解決も意表をついたものが多く、それなりに楽しめる一冊。