乾くるみ『カラット探偵事務所の事件簿1』
- 作者: 乾くるみ
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/09/13
- メディア: ハードカバー
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『匣の中』や『クラリネット症候群』の作者らしい、暗号趣味に満ちた短編が多いのが特徴。そのいずれも、単なる言葉遊びや推理パズルという次元にとどまっていずに、きちんとストーリーに絡めた上で消化しているので、淡白な印象は受けない。暗号の出来自体もよいので上記作品が肌にあった乾ファンならば十二分に楽しめるであろう。ただし、最後のトリックは近年の本格系ミステリの流行から鑑みるに、非常に安易なものであり、トリックのためのトリックともいうような蛇足めいた印象が強いように思われる。