松尾由美『人くい鬼モーリス』
- 作者: 松尾由美
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2008/06
- メディア: 単行本
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きわめてまっとうなジュブナイルミステリで、モーリスの設定がジュブナイル要素、ミステリ要素双方に対して有効に活用されている。子供にしか見えないモーリスが見ることが出来なくなれば、その事実がそのまま少女の成長を意味することになるし、事件それ自体に対してもモーリスの特徴がそのままロジックに運用されている。松尾由美は非現実的な道具立てを用いてミステリを展開させることを好む作家であるが、本書ではその個性が十分に活きた良作であるといえる。