鯨統一郎『ABCDEFG殺人事件』

ABCDEFG殺人事件 (ミステリーYA!)

ABCDEFG殺人事件 (ミステリーYA!)

 2008年4月購入。4ヶ月の放置。タイトルからはアガサ・クリスティの代表作が想起される。しかし、オマージュとかパスティーシュになっているわけではなく、ミッシング・リンクを扱った作品ですらない。また、各章題は「Aは安楽椅子のA」「Bは爆弾のB」……というように名づけられており、こちらはクリスティではなくスー・グラフトンのキンジー・ミルホーンシリーズのタイトルを連想させる*1
 主人公は探偵事務所に勤める天然系の娘で、彼女はある時聴力を失ってしまう。しかしそれからというもの、無機物の声を聞き取ることが出来るようになり、彼女の愛用する安楽椅子や現場に残されたものの声を聞くことによって事件を解決させていく。いつもの鯨作品のごとく気楽かつ気軽に読める一冊だ。

*1:ちなみに安楽椅子=Armchair、爆弾=Bombといったように頭文字は日本語英語両者に共通するようになっている。