横森理香『渋谷ビター・エンジェルズ』

渋谷ビター・エンジェルズ (ミステリーYA!)

渋谷ビター・エンジェルズ (ミステリーYA!)

 2008年3月購入。3ヶ月の放置。舞台は渋谷。さまざまな悩みを抱えた少年少女たちが、一風変わった天使に出会い、悩みを解決していく短編が五つ。シングルマザーの母親との付き合い方がギクシャクしてしまう響、イケメンに恋してしまった非モテピザ少女の恵、彼氏ができたはいいものの性的な意味で付き合い方に悩む優香、家族崩壊の妄想に苦しむ少年健斗、田舎もので冴えない少女時代に天子に出会った未由のママという五人の少女が天使と出会うエピソードが語られる。
 天使のビジュアルたるや、ギャル男だったりオバサンだったりオカマだったりと、天使とは程遠いものだ。奇をてらった演出なのだろうが、基本軸として渋谷に集う若者というのがあり、その上でギャップを出してやろうという意図が見え見えで、その外し方が陳腐だ。そもそも描かれる若者、特に少女の造形がベタ過ぎて作品全体から安っぽい空気が漂ってきて、読んでいてしばしば失笑を浮かべてしまった。もっとも、作者は渋谷在住で、そこに集まる若者の生態は熟知しているはずで、ベタベタなステレオタイプの若者像は案外リアルなものなのかもしれない。八万円で女子高生と出会ったりするようなトリコでリーダー的な行いをしたことをない私にはわかりかねます。