弘也英明『厭犬伝』
- 作者: 弘也英明
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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主人公の厭太郎は仕事上の過失によって仏師を死なせてしまう。そしてその罪を問われるのだが、仏師の娘・犬千代と「合」を行い、勝てば不問、負ければ死の二択を迫られることになる。「合」の腕前はヘボといってもよい厭太郎はどうにかして犬千代に勝たんと修行を積むことになるのだった……
ストーリーの大半はこの「合」に関する話題で占められるのだが、この「合」なるもの、そして合戦の描写はまるっきり格ゲーそのもので、作者のゲーム脳っぷりがうかがえる。帯で米光一成は「ゲーム化熱烈希望!」などと謳っており、設定はなるほど、その類の魅力はあるのだろうが、肝心の小説作品として昇華できているかというとはなはだ疑問で、対戦相手の攻略法に関する記述はまるっきりゲームのそれに過ぎず、登場人物の掘り下げも甘い。レベルの非常に高い「ファンタジーノベル大賞」受賞作品ということで期待値は非常に高かったが、完全に肩透かしに終わっており、残念だ。