桜庭一樹『GOSICK? 青い薔薇の下で』

GOSICK〈3〉ゴシック・青い薔薇の下で (富士見ミステリー文庫)

　シリーズ第３段。前２作同様、事件を通して主用登場人物を掘り下げていく、という趣向で物語は展開していく。今回はヴィクトリカの兄、グレヴィール・ド・ブロワにスポットが当てられている。一見、単に奇をてらったに過ぎないと思われた彼の髪型に関する逸話を、非常に上手く処理している。
　事件そのものに関しては、今回はいわゆる安楽椅子探偵ものとなっており、それ自体は探偵役としてのヴィクトリカの魅力を引き出しているのだが、対して、そのヴィクトリカに終始電話で頼りっぱなしの男性人は非常に情けない。もう少し見せどころを用意してほしかったところ。