芦原すなお『カワセミの森で』

カワセミの森で (ミステリーYA!)

カワセミの森で (ミステリーYA!)

 2007年5月購入。10ヶ月の放置。ストーリー展開は本格ミステリの作法にのっとっているにもかかわらず、解決、特に見立て殺人の処理の仕方が杜撰で本格読みにとっては地雷になりかねない一冊。一方で作者の持ち味である飄々とした会話から生じるユーモアは健在で、そのような雰囲気重視の読者には十分に楽しめる作品だ。なお、作中でのユーモア感は基本的におっさん臭漂うもので、女子高生を主人公とするには相性が悪いのだが、その女子高生をおっさん的会話センスの持ち主と設定するという荒業でウィークポイントを消し去っている。