倉阪鬼一郎『学校の事件』

学校の事件 (幻冬舎文庫)

学校の事件 (幻冬舎文庫)

 2006年12月購入。1年3ヶ月の放置。学校を舞台にした連作短編。対人恐怖症で女性が苦手な教師が周囲の重圧及びそこから生じた妄想によって次第に狂気に陥っていく「ラジオ体操殺人事件」から始まり、大量殺人者の起こした事件の有様と殺人者自身の生い立ちを語る「吹上四十人殺し」、手に入れた本に蔵書印を押さずにいられない偏執な性を持つ教師の美談の裏側「蔵書印の謎」、売れない作家の教える小説教室の教え子が新人賞受賞、そこから生まれた嫉妬心「吹上駅よ、さようなら」、軟式野球部の部長を引き受けてしまったお人よしの教師がストレスで追いつめられていく「部長の殉職」、いじめられっ子が訪れた同窓会での悲惨な扱い、そしてそのいじめられっこの正体「ホームルーム・グッドバイ」。いずれの作品もこの作者らしい精神的にアレな人物が登場し、かれらが起こす事件をユーモラスに描いている。