2冊まとめて。2007年7月購入。5ヶ月の放置。作者の代表作でもある『
デルフィニア戦記』シリーズの雛型となった作品で、そのエピソードは第2部の「異郷の美姫」と重なる部分が多い。ただし『
デルフィニア〜』全18巻に対し上下巻のボリュームしか持たない本書はキャ
ラクターの掘り下げという点が目に付く。前者が
デルフィニアという国レベルにまで視野を広げた物語であり、したがってグリンダ(リィ)のみならず国王ウォルやその仲間たちそれぞれについて筆を費やすことができたのだが、本書ではほとんどがグリンダに関する事柄が描かれている。『
デルフィニア〜』を既読である読者には物足りないかもしれないが、反面、すっきりとした作品にもなっており、設定の掘り下げが十分とはいえないまでもそれなりに楽しめる作品になっているといえる。