2006年8月購入。1年3ヶ月の放置。眼鏡・口紅・靴・ホームページ・携帯電話・スケッチブック・万華鏡・手紙……各短編のタイトルに取られている物はすべて遺品で、本書は生時の思いが込められた品を巡るホラー作品集である。遺品という、ホラーを描くには使い勝手のよいモチーフを用いているとはいえ、各短編ごとにその遺品にまつわる出来事を非常に丁寧に料理をしているので安っぽい怪談話
*1に堕すことはなく、それなりに読み応えがある。また、「手紙」のように作者本来のフィールドともいえるミステリ的趣向を凝らした作品もあり、
作家買いした読者も納得の行く出来にもなっている。ただし、作者元来の軽めの文体ゆえかさくさく読めるのだが、純粋にホラーとして真っ向から向かい合った場合は怖さは不足しているように思う。