森見登美彦『太陽の塔』

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

 2006年5月購入。1年半の放置。女にまるっきり縁のない大学生活を送る主人公に彼女が出来たのだが、その彼女に振られてしまう。未練たらたら、しかしよりを戻そうと頑張るというような男気もなくストーカーめいた行動を取る主人公。妄想力だけが飛びぬけて凄い。類は友を呼ぶという言葉どおり、友人たちも似たような男ども。そのような非モテ男にスポットを当てた非モテ系青春小説。爽やかさなどまるでないが、じめじめとした暗さもない。彼らの生き様は非モテとして開き直っているわけではなく、彼らなりに自然なのだ。非モテとかキモオタとかネガティブで目を背けがちなスタイルも、それなりに居場所を得ているのだろう。