宮部みゆき『模倣犯』一〜五

　５冊まとめて。

模倣犯1 (新潮文庫)

模倣犯2 (新潮文庫)

模倣犯3 (新潮文庫)

　一〜三巻。２００５年１１月購入。１年１１ヶ月の放置。

模倣犯（四） (新潮文庫)

模倣犯(五) (新潮文庫)

　四、五巻。同１２月購入。１年１０ヶ月の放置。
　公園で発見された若い女性の右腕とハンドバッグ。そこから端を発したマスコミを巻き込んだ異様な連続殺人事件の顛末を描いた力作。事件に関するあらゆる要素――犯人、共犯者、被害者、死体の第一発見者、そしてマスコミを丹念に書き込むことによって事件そのものをくっきりと浮かび上がらせている。文庫にして全５巻というボリュームを誇りながらも無駄な描写はほとんどないため、冗長さをまったく感じさせずにぐいぐいと読ませる。宮部作品ではお馴染みの「家族の崩壊と、そこから立ち直る個人」というモチーフも健在で、本書では事件に関係した祖父と少年、血のつながらない二人が擬似家族めいた関係を築いていくのだが、そこに至る過程を彼らの心理を含めてきっちりと書きこんでいるのでこのてのテーマにありがちなわざとらしさ、馴れ合いの雰囲気のようなものは感じられない。素晴らしい。長いこと積んでいたこことを後悔させる作品だ。ホントすんません。