谷川流『涼宮ハルヒの陰謀』

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)

 シリーズ第7弾。7日後の未来からやってきたみくる。だが、彼女を送り出したのはキョンで、みくる自身はなぜ自分が送られてきたのかは知らずにいた。今回の話はミステリのテクニカルタームを用いるのであれば、ホワイダニットということになる。理由がわからないままのキョンとみくるであったが、更なる未来のみくるから意味のよくわからない指令の書いたメモが届けられ、彼らはその指示通りに行動するのだが、一応主役であるはずのハルヒという存在が場をかき乱すジョーカーのポジションにあるため、彼らの行動には決して関わってこないように細心の注意がはらわれている。そのため、ハルヒは物語的には後景に追いやられているのだが、最後にきちんと(事件とはあまり関わりないとはいえ)役割をもたせている。そのあたりは上手いといえば上手いのだが、このシリーズ自体、設定上本書のように事件に対するハルヒの立ち位置が微妙にならざるを得ない。シリーズものとしての舵取りは難しいと思う。