茅田砂胡『デルフィニア戦記 第?部 動乱の序章』1〜5

 5冊まとめて。

動乱の序章〈1〉―デルフィニア戦記 第3部 (中公文庫)

動乱の序章〈1〉―デルフィニア戦記 第3部 (中公文庫)

 2003年11月購入。
動乱の序章〈2〉―デルフィニア戦記 第3部 (中公文庫)

動乱の序章〈2〉―デルフィニア戦記 第3部 (中公文庫)

 2004年1月購入。 同3月購入。 同5月購入。 同7月購入。3年以上の放置。デルフィニア国内の内乱も終息し、軍神のごとき強さを誇る美少女・リィを王妃に迎えた国王ウォルの次なる難題は隣国との関係であった。国力が充実していくデルフィニアに脅威を抱いたバラストとタンガは協力してデルフィニアの国力を殺がんと計略をめぐらす。また一方、王にとっては名前だけの王妃と別に「妻」の必要性を案ずる臣下たち――そしてリィはウォルに愛妾をあてがうよう画策するのだった……
 いわゆる「架空歴史小説」ものという角度で眺めると、非常にぬるい展開だといえる。いまだ跡継ぎのいない国王が最前線にたって剣を振るうという行為は国を運営していく上では考えられない愚考だし、大国との二正面作戦が危地を迎えつつもさほど長引くことなく撃退できたりするのだから。
 また、大華三国の文化の違いがほとんど見られることがなく、風土的特色に関する描写も乏しい。一方で国王の性格付けは成されている。さらには戦闘面においては軍対軍というよりは個対個を重視している。なによりも主要キャラクターの結婚問題が大きく取りざたされている。必然的に国の興亡よりも男女のキャラクターのカップリング、及びその行く末に目が行くことになる。そのあたりを考えると、あくまでこのシリーズは国を見るのではなく、人を見るべきであろう。