古処誠二『七月七日』

七月七日

七月七日

 2004年9月購入。2年11ヶ月の放置。太平洋戦争末期のサイパンを舞台とした戦争小説。主人公は日系二世の語学兵で、味方のアメリカ兵からは不審の目で見られ、敵方の日本人たちには裏切り者のごとき扱いを受ける。敵味方ともにイレギュラー存在である男の心理を主眼に描かれており読み応えは抜群だが、心により響くのは敗戦濃厚の悲惨な状況下にあり、かつその状況を認識している日本人の心境だ。