フィリップ・K・ディック『偶然世界』

偶然世界 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-2)

偶然世界 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-2)

 権力者を機械が無作為に選び出す、設定下にある2200年初頭が舞台。特に失政を犯したわけではない時の権力者ベリックがその座を追われ、後任にはカートライトという男が選ばれる。彼は未知なる外宇宙に対して羨望を抱いており、探索船を派遣する。一方、そのカートライトを失脚させるために放たれた刺客が迫る……
 独自の世界観をもとに息のつく間もない勢いでストーリーを転がしていくカオスっぷりで、SF脳のある/無しが作品にのめりこめるか否かを明確にわける。作品世界に入っていけるのであれば、あとは濁流に身を任せてしまうのが吉。