倉知淳『猫丸先輩の空論』

猫丸先輩の空論 (講談社ノベルス)

猫丸先輩の空論 (講談社ノベルス)

 2005年9月購入。1年半の放置。印象としては、非常に巧みに組み立てた三題話だ。与えられた条件・データをもとに辻褄の合うように話を組み立て、聞き手を納得、あるいは感心させる。その三題話の語り手は猫丸先輩だ。空論というタイトルが示すとおり、彼の組み立てる推理は正解か否かはストーリーを読み通しても提示されない。論理の堅牢さに価値を見出すのではなく、それらしい論理を組み立てること及び論理を生み出す発想のユニークさに重きを置いた作品だ。作者の作風、及び猫丸というキャラクターがその狙いに見事にマッチしている。