飛鳥部勝則『ラミア虐殺』

ラミア虐殺 (カッパ・ノベルス)

　２００３年１０月購入。３年半の放置。昔傭兵をしていた探偵・杉崎は美夜という女性と出会う。家出をしてきたという美夜だがあえなく追っ手に捕まり家に連れ戻されることになり、杉崎は彼女にボディガードをするよう依頼される。自宅に帰ると殺されるかもとおびえる美夜。そしてその家の主人にして彼女の父親は杉崎の知る人物で、なおかつ深い因縁があるのだった。
　吹雪の山荘で起きる奇怪な連続殺人、謎のメッセージカード、怪しげな人物たち、そしてプロローグで示される化け物たちの存在……こてこてのゴシック風本格と思わせつつ、最後に見せる超展開。思わずのけぞらずにはいられない。趣味嗜好・あるいは心の狭い読書子には決してお勧めできないものの、例えば殊能将之『黒い仏』のような一風変わったクセの強い作品をこよなく愛するような人間には一読の価値あり。人間の醜さをつきつけるテーマ性もベタとはいえ悪くはない。