谷原秋桜子『天使が開けた密室』
- 作者: 谷原秋桜子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/11/30
- メディア: 文庫
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ラノベレーベルで刊行された作品の復刊ということだが、密室の扱いやその解決法などミステリとしてはまっとうで好感が持てる。ただし、キャラクターたちには拒否反応を覚えずにはいられなかった。世間ずれしない母親、気が強く男勝りの口調でしゃべる友達(父親は警察のお偉いさん)、おしとやかでおっとり口調の典型的なお嬢様の友人(政財界のお偉方とコネクションがある)、普段は喧嘩をしてしまうけどいざというときは助けてくれるクールな隣人(男)……絵に描いたような漫画型の登場人物の造詣(描写ではない)が狙いすぎだ。特に若い主人公の前に現れるイヤな大人たちの態度は子ども/大人という壁を見せつけるための趣向にしてはあざとすぎで、むしろそういった大人たちのほうが子どもっぽいだろうと苦笑してしまった。このあたりのキャラクター造詣の面で地に足が着いてくればもっと作品自体にのめりこめるはずで、非常に惜しい。