西尾維新『ネコソギラジカル 上 十三階段』『ネコソギラジカル 中 赤き征裁VS橙なる種』『ネコソギラジカル 下 青色サヴァンと戯言遣い』

ネコソギラジカル (上) 十三階段 (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル (上) 十三階段 (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

 3冊まとめて。購入は順に2005年2月、6月、11月で放置期間はおよそ1〜2年。世間は12ヶ月連続刊行の『刀語』で盛り上がっているなか*1で、ようやく「戯言シリーズ」を読了。ストーリーの流れを徹底的にキャラクターへ依存することによって作品を成立させた感が強い。この方法論は小説というよりは少年ジャンプ型の漫画に近いものであろう。遠く遡れば田中芳樹の『銀河英雄伝説』あたりからこの手の方法論は採られていたのだが、既存作品はあくまで小説、という別分野で用いるためのメソッドの翻訳をしていたように思う。しかし、西尾はこのメソッドを翻訳することなくそのままの形で小説で用いた。したがって、本書などは漫画という別分野に移植したとしても何の違和感もなく読めるであろう。活字である必然性が極めて薄い。従来の小説読みが西尾作品にいまひとつのめりこめないのは、この必然性に疑問を抱くからであろうし、逆に漫画読みかつ小説読みという人種は比較的素直に受け入れたであろう*2
 また、本書を表すジャンルとしてシリーズ発表当初から「新青春エンタ」なる言葉が用いられているが、現在の青春小説ブームを思い合わせると興味深いものがある。

*1:その前に刊行された『化物語』も放置中。

*2:一応西尾維新個人の事として記しているが、他のラノベ作品にも当てはまるケースかもしれないが、ラノベをほとんど読まないのでそこまで話は広げられない。