若竹七海『猫島ハウスの騒動』

猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)

猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)

 2006年7月購入。5ヶ月の放置。架空の町「葉崎」を舞台にしたコージー・ミステリーもの。少数の人間とともに多くの猫が暮らす島「猫島」。ナイフの突き立てられた猫の剥製、マリンバイクを走らせる男の上と崖から飛び降りた男の衝突事故、過去に起きた銀行強盗事件――民宿の娘・杉浦響子の夏休みは家業の手伝いのみならず厄介な事件の数々に彩られることとなるのだが……

 作者特有のシニカルな味付けは健在なるものの抑え目な印象を受けた。主人公の若々しさとユモーアかつコミカルでテンポのよい会話がふんだんに盛り込まれているからか。重い手ごたえのないもの、気軽に読める一編。なんと言っても前編を彩る影の主役、猫たちの存在感が抜群。猫かわいいよ猫。