本格ミステリ作家クラブ編『本格ミステリ06』

 2006年5月購入。4ヶ月の放置。本年度の本格短編のベストセレクションと銘打たれたアンソロジーだが、今年は低調に感じられた。というのは(本格という意味において)突出した作品がなかったからであろう。全体的には悪くないのだろうけど。
 収録作を見渡して目に付いたのは、フレッシュなメンツが多いということだ。おりしも新本格の生みの親・宇山日出臣氏が逝去され、本格ミステリ界では一つの節目を迎えた感があるのだが、その宇山氏の嫡子とも言うべき作家の名前がまったくない。あるいは新本格第一世代といわれる作家たちの名前も。代わりに登場したのが今回初登場となる道尾秀介米澤穂信蒼井上鷹といった若手の面々。彼らは言うなれば宇山氏の子どもではなく孫の世代に当たる。新本格生みの親死すとも本格は死なず。そう思わせるに足るメンバー構成だ。本格万歳。