桶谷秀昭『昭和精神史 戦後篇』

昭和精神史 戦後篇 (文春文庫)

昭和精神史 戦後篇 (文春文庫)

 2003年10月購入。およそ3年の放置。本書は昭和という時代を精神史という文脈で解き明かそうという試みのもとで書かれている。扱われている時代はそのタイトルの示すとおり「戦後」だ。天皇人間宣言から始まり、東京裁判安保闘争三島由紀夫事件、そして天皇崩御など戦後史を詳細に記している。印象に残ったのは東京裁判での東条英機廣田弘毅の態度を対比させて分析してみたところで「狐族型人間」と「ハリねずみ族型人間」とに分類しているところ。*1最も印象的だったのは三島由紀夫の死を昭和という時代の終焉の象徴としている点。終戦直後の昭和天皇のエピソードも興味深い。

*1:アイザイア・バアリンによる分類。ギリシャの詩人アルキロコス「狐はたくさんのことを知つてゐるが、ハリねずみはでかいことを一つだけ知つてゐる」という詩句より。