2005年10月購入。9ヶ月の放置。舞台は清代初期、着々と勢力を広げつつある
満州族に抵抗する武林の侠客たちの物語。凌未風、傅青主、冒浣蓮、桂仲明、易蘭珠といった個性的な英雄が男女問わず数多登場し、まるでジャンプのバトル漫画のごときスピード感あふれるハイテンション格闘シーンが次々に繰り広げられる。
清朝初期という歴史背景もきっちりと描かれており、それに絡めた登場人物たちの因縁も書き込むことによって作品は深みを増している。作品の舞台背景にあるのは
満州族が中原の覇者となっている、
漢民族にとっては受難の時代でもある。そこで抗清の英雄の活躍を描くことは
漢人の
ナショナリズムをおおいに高める効果がある。日本人読者たる我々にはそのあたりの心情面はわかりににくいが、それを差し引いても抜群に面白い作品である。この梁羽生だけでなく、
金庸、
古龍など「
武侠小説」は良作ぞろいであるので本書のみならず一ジャンルまるごとお勧めしたい。
武侠小説はもっと多くの本読みに読んでほしいジャンルだ。