テリー・ビッスン『ふたりジャネット』

ふたりジャネット (奇想コレクション)

ふたりジャネット (奇想コレクション)

 強引なのを承知の上で、本書収録作品の特徴を挙げるのであれば、「移動」ということについて扱っているものが多いということになろうか。シュールな方程式を用いて月ー地球間の距離を縮める穴を発見し、そこを「移動」する「穴の中の穴」とか、生者が死後の世界を探索(=移動)する「冥界飛行士」とか、時間を移動するタイムトラベルもの「未来からきたふたり組み」とか、なぜか英国が漂流し始めるという奇想爆発の「英国航行中」とか、有名作家がなぜか同じ田舎町に引っ越してくる、ただそれだけの話「ふたりジャネット」とか。そんななかでお気に入りはこのカテゴリに含まれない「アンを押してください」だったりする。