エリザベス・コストヴァ『ヒストリアンⅠ』

ヒストリアン・I

ヒストリアン・I

 父の書斎で少女は謎の本と封筒を発見する。竜の挿絵があるだけで他には何も印刷されていない本。そして「不運なるわが後継者へ」という書き出しの手紙。父は少女に本と手紙に関わるある物語を話す。それは、父が学生時代に経験した恩師の失踪話だった……

 全米№1ベストセラーにしてハリウッド映画化も決定している超大作ということで読んでみた。それにしても、この購買意欲をそそらないタイトルはどうよ? ぶっちゃけるとドラキュラものなのだが、タイトルと本に付されたあらすじだけからそう思う読者はいまい。ヒストリアン=歴史家ということで歴史ミステリを期待するものはいるだろうが、そこまでのめくるめく薀蓄とか重厚さはない。実際、ドラキュラ伝説のもととなった吸血鬼のモデルブラド・ツェペシュを追う歴史家たちの物語なのでそれに即したタイトルなのだが、もう少し何とかならなかったのか。このタイトルは絶対に損していると思う。

 とりあえず前半部分は、父親が手紙に関することをなかなか話さないでひっぱるので、そのテンポの遅さに読んでいて乗り切れなかった。

 そんな感じで先にダメだしをしておく。あとは『〜Ⅱ』について書くときにでも。