アルフレッド・ベスター『願い星、叶い星』

 ベスター初読み。一言でまとめるには難しい作家、作品だ。サイコサスペンスサイコサスペンスのさきがけをSFをベースにしてやってのけた「ごきげん目盛り」とか世界の滅亡が眼前に迫る中それとは無縁の精神状態という狂気を表現した「昔を今になすよしもがな」とか、人間とは結局時の流れの中においてのみ存在するということを痛感させる「選り好みなし」とか。とにかく個性の際立つ作家であることは間違いない。ただ、私はこれ1作で特性をつかみきれていない。作風が多彩であるとかとは別の次元で本質を把握できてないというか。いずれ他作品も読んで位置づけしてみたい。もっとも、このような感想を抱くのは、単に私がSFオンチであるだけなのかもしれない。