佐藤賢一『二人のガスコン(下)』

二人のガスコン〈下〉 (講談社文庫)

二人のガスコン〈下〉 (講談社文庫)

 ようやく下巻を読了。鉄仮面の正体とその裏に隠された驚愕の真実を知った二人のガスコン、ダルタニャンとシラノが巻き込まれた騒動の結末は……
 佐藤賢一的「鉄仮面」の魅力は上中巻で十分に語りつくした感があるのだが、改めてその魅力に触れるのならやはり快男児の生き様ということに尽きる。信念とか愛する女とかいろいろと背負うものがある中で、自身に恥じることの内容に生きるということは過酷なことである。だが、それに逃げることなく自分の道を貫く。かような男を描かせたら佐藤賢一は当代一だ。男心を熱くさせてくれる物語だ。