竹本健治・建石修志『虹の獄、桜の獄』

虹の獄、桜の獄

虹の獄、桜の獄

 竹本健治には『匣の中の失楽』や『狂い壁狂い窓』といったミステリや、あるいは『閉じ箱』のようなホラー作品があるが、その作風は幻想趣味あふれるものが多い。著者初となるこの絵本はそういった幻想趣味を遺憾なく発揮した「大人のための暗黒童話」というコンセプトで書かれている。彼の文章に添えられた建石修志のイラストが実にうまくマッチしている。

 初出は今は亡き「EQ」*1というから10年以上前のかなり古い作品だが、今になってよくも日の目を見たものだ。河出は実に良い仕事をした。

*1:書き下ろしの「しあわせな死の桜」を除く